精興社書体について #LOVEFONT
これらの本では、すべて精興社書体が使われている。#LOVEFONT Advent Calendar 2014 - Adventarの8日目、精興社書体について書く。
精興社と精興社書体
秀英体も好きだけど以前あれこれ書いたし、この精興社書体も大好きなので、こうやって書く機会があって嬉しい。
精興社はこんな会社。
1913年4月、白井赫太郎により東京活版所として東京都神田区美土代町に設立された。白井は活版印刷の品質の向上を目的として、新しい書体の開発を君塚樹石に依頼、精興社タイプと呼ばれる、細身の美しい書体を作り上げた。また一度使用した活字は再利用せず、再度鋳造することにより、非常に美しい印刷物を作ることに成功した。
精興社のサイトには、精興社書体や活版印刷についての読み物があって楽しい。
この記事も面白い。
精興社書体、使いたいけど、一般販売はされていないみたい。残念。
精興社での印刷時のみ使用可能なためフォントの販売はされていない。
精興社書体と「ノルウェイの森」
僕にとって精興社書体は、「ノルウェイの森」の書体だ。文庫本にはあとがきがなかったので単行本を買った。文庫本では違う書体が使われていて、こちらも何度も読んでいるけど、やっぱり精興社書体のほうがしっくりくる。
精興社書体のひらがなは、ちょっと細めで小さいけど、曲線が特徴的で力強く美しい。「ノルウェイの森」は書体と物語と文体がとてもよくあっていて、はっきりと印象に残っている。ちょっとつぶれたような「こ」や、すこし反っている「い」の形が特に好き。
デジタル化された精興社書体
精興社書体はデジタル化されていて、書体見本がダウンロードできる。
デジタル化された書体は、なんとなく印象が違う。より整って正方形に近い感じがする。他の作品を読んでも、「ノルウェイの森」ほどしっくりこない。まあこれは個人的で勝手な印象なんだけど。
まとめ
「文字の食卓」にも精興社書体が「氷彫刻の文字」として載っている。ミヒャエル・エンデの「はてしない物語(岩波書店)」でも精興社書体は使われていたそう。
書体によって物語の印象が変わる。ぱらぱらとページを手繰り、精興社書体の佇まいをながめるだけでも楽しい。組まれた文章を読むのはもっと楽しい。