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技術、読んだ本、いろいろ。

文字をつくる 9人の書体デザイナー

もっと文字のこと、フォントのことを知りたいな、と思って読んでみた。文字がどうやって作られてきたのか、全然知らなかった。本書でその過程を知ることができた。

本書で紹介されている9人の書体デザイナーの方々。

  • 鳥海 修(ヒラギノ、こぶりなゴシック、游書体ライブラリー)
  • 杉本 幸治(本明朝)
  • 鈴木 功(AXISフォントなど)
  • 西塚 涼子(りょう、りょうゴシック、かづらき)
  • 大平 善道(ZENオールド明朝、ZENアンチックなど)
  • 片岡 朗(丸明オールドなど)
  • 小林 章(Cliffordなど数々の欧文書体)
  • 小宮山 博史(平成明朝体など)
  • 小塚 昌彦(新ゴ、小塚明朝、小塚ゴシックなど)

この本の製作過程をまとめたblogやtwitterもある。

鳥海 修

Macを使っていれば必ず目にするヒラギノシリーズ、Windows 8.1に入っている游ゴシック、游明朝、それらの書体を作った方のお話。美しくて読みやすい書体を、日常的に使えることに感謝する。

いったん大きく書いたその文字が、やがて小さな文字になって、ふだんの新聞に使われている。『活字って、人がつくっているのか!』それでもう感動してしまって

こういう感覚、いいよね。僕もプログラミングをはじめたとき、WindowsLinuxJavaも、人がつくったものなのか!って思った。

文麗仮名、蒼穹仮名、流麗仮名という書体が紹介されていた。どれも知らなかったけど、こういう書体好き。どれもひらがなのやわらかさがすてき。

杉本 幸治

本明朝、この書体も知らなかった。

"品性を保ち、読みやすく、見やすく、識別がいい"。それが、杉本さんが教わってきた活字書体づくりの原点だった。

「品性を保ち」って、ところがすごい。読みやすく、見やすく、識別がいい、というのはわかる気がする。まだ文字の品性を感じたりするほど、知識や理解がないのだけど、これからは文字の品性も意識しながら、文字や文章を読んでいきたいと思った。

60歳を過ぎてからMacを使い始めて、抵抗なく入っていけた、と書いてあったんだけど、これもすごい。そんな風に変化を楽しんでいけるといいな。

鈴木 功

AXISフォント、Appleで使われていることが有名だから知ってた。細くても読みやすくてすてき。

TypeProjectのTP明朝もすき。

好きだと思う書体のカテゴリーやスタイルを見つけたら、自分のなかにその書体がなんらかの形で残ったと思えるところまでやってください。そうすれば充実感も得られるし、いつかチャンスが訪れるはずです

好きなことをひたすら続けてきたひとの話は面白い。

「書体が使われ始めたのを目の当たりにしたときに、えもいわれぬ充実感が訪れる。瞬間的ではなく、持続するうれしさがある。タイプデザインの冥利がそこにあります」

こういうの、いいな。

西塚 涼子

かづらき、りょう、りょうゴシック、そして源ノ角ゴシックの書体デザイナー。

小塚ゴシックについて、こんな文章があった。

アドビのソフトにバンドルされても、浸透するまでは一〇年近くかかるんですよね。

いろいろなところで目にするようになるんだろうな。このblogも、いまはfont-familyで源ノ角ゴシックを指定している。すてきな書体を、ありがとうございます。

大平 善道

ZENオールド明朝、知らなかった。そしてこのひとがほれこんだというA1明朝という書体も知らなかった。

文字を見る目を養いたいと考えている人は、まず、自分のなかに基本となる書体を持つべきだと思うんですね。その書体に興味を持ったからには、なにか理由があるはず。

興味を持った書体があったから、文字を見る目を養いたいと思った。そういう書体が見つかったことで、ちょっと世界が変わった。もっと書体のこと知りたいな、と思う。

片岡 朗

丸明オールド、筆脈がいいね。

表現するのは「思い」であり、自分自身の軸がなければ、その人ならではの表現なんてできるものではない。その軸は、人間愛なのだと片岡さんは思っている

丸明オールドからは、「思い」を感じる気がする。

小林 章

初めて買ったフォントの本は、小林さんの「フォントのふしぎ」だった。もう3年近く前のこと。フォントに詳しくなくても、色とりどりの文字が美しく、文章がわかりやすくて、読んでいてとても楽しかった。

Optimaの改刻をされている。Optimaは大好きな欧文書体。それ以外にも、この人の関わった書体を見ない日はないと思う。

たまに日本でワークショップや講演があったりするので、機会が合えば聴いてみたい。

小宮山 博史

〈書体はただ、読者のためにある。〉

そういった思いの詰まったものに、ずっとふれあってきたんだな、と思う。活字の歴史をもっと知りたいと思った。

小塚 昌彦

この本を読んでいると、小塚さんの名前が至るところで出てくる。その影響の大きさを思い知る。

小塚明朝、小塚ゴシックに出会ったのは、いまの会社に入ってから。隣の席のデザイナさんが使っていた。小塚明朝のやわらかさ、ふところの広さが好きで、フォントの話で盛り上がった。

つまり、文字というのは単なる曲線と直線の組み合わせではなく、始めと終わりに流れるように書くという意識が書体なのだと。

線が文字となり、その文字の組み合わせて文章ができる。そういった当たり前のことを考えさせられた。

まとめ

表紙の、書体デザイナーの名前の上の四角たち、その人たちのフォントをイメージしたものなんだろうな。読み終わって表紙を見返して思った。

プリインストールされているような書体しか知らなかったので、初めて知る書体が多かった。書体がどうやって作られてきたのかということは、もっと知らなかった。

時代を切り拓いた人、その先でさらに推し進めた人、いまも新しい書体を作り続けている人、さまざまな時代で活躍してきた書体デザイナーの話がまとまっていて、とてもおもしろかった。

書体をつくる人たちの、諦めない情熱を感じた。そして、あとがきにあるとおり「文字をめぐる冒険」だった。

文字をつくる―9人の書体デザイナー
雪 朱里
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