わたしを離さないで
わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)
posted with amazlet at 13.05.11
内容紹介
優秀な介護人キャシー・Hは「提供者」と呼ばれる人々の世話をしている。生まれ育った施設へールシャムの親友トミーやルースも「提供者」だった。キャシーは施設での奇妙な日々に思いをめぐらす。図画工作に力を入れた授業、毎週の健康診断、保護官と呼ばれる教師たちのぎこちない態度……。彼女の回想はヘールシャムの残酷な真実を明かしていく。解説:柴田元幸
読みながらずっと「一九八四年」を思い出していた。近未来的SFからだとは思うけど。
淡々とした静かな文章で、絶望的なことが描かれている。でもそのなかでも、やっぱりちょっとした希望や選択肢があって、それがより一層状況を引き立てる。
登場人物がみんな完璧に不幸かというと、そんなことはなくて、「風の歌を聴け」のこれを思い出した。
「完璧な文章などといったものは存在しない。完璧な絶望が存在しないようにね。」
あと「ノルウェイの森」のこれも。
死は生の対極としてではなく、その一部として存在する。
何か救いがあるといいな、と思った。