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技術、読んだ本、いろいろ。

色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年

色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年
村上 春樹
文藝春秋 (2013-04-12)
売り上げランキング: 9

内容(「BOOK」データベースより)

良いニュースと悪いニュースがある。多崎つくるにとって駅をつくることは、心を世界につなぎとめておくための営みだった。あるポイントまでは…。

村上春樹の「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」を読了した。読みながら、これまでの作品やその登場人物たちを思い出した。

大きなテーマ(?)としては、喪失と回復だと思う。「ノルウェイの森」や「ダンス・ダンス・ダンス」や「スプートニクの恋人」みたいに。失ってしまったものを、取り戻すような物語だった。


京都大学でのインタビューでこんなことが話されたみたい。

「『ノルウェイの森』を書くときは純粋なリアリズムを書こうと思った。初期の作品とは違う、百パーセントのリアリズムを書かないと一つ上のステージに行けないと思ったんです。一度ほかの作家と同じ土俵で戦わないといけないと思った。そんなしばりをかけて、うまく書けました。(「色彩を持たない-」)は僕の書いた感じでは頭と意識が別々に動いている話です。別なんだけれど最後のところで頭と意識が一緒になればうれしいなと。これは初めての体験でした」

確かに一貫してリアリズムな物語だった。あと、三人称がとても自然だった。このサイズ(300〜400ページくらい)の中編で、いつもいろいろなことを試している気がする。64歳にもなって、毎回新しいものを取り入れるというのはすごい。


好きな作品かどうか、って考えると、まだちょっとよくわからないけど、しばらく読み返すことはなさそう。ずっと先に読み返して、好きになるかもしれない。でも気に入った一節はいくつかあった。

ま、昔読んだ作品のほうが思い入れがあるので、客観的な感想ではないけど。